こんな所を母や学校の人が見たらどう思うだろう。お巡りさんに出会ったら、絶対止められる。
家に芹沢の親が居た方がいいなと思うようになってきた。ただ昼御飯を一緒に食べるだけなのに、小学6年生の僕にとっては何か大きなことが起こる未来に感じた。
言いようのない不安と緊張で心臓がドキドキからバクバクへと変わる。腹や胸の中が落ち着かず何回も深呼吸をした。
やっぱり帰るって言おうとしたけど、芹沢が一回も止まらないし後ろを振り向かないので言い出せなかった。
芹沢が門の前で立ち止まって、手を放した。
塀の内側に木が並んでいて、二階建ての大きな家から新しい木工の香りがした。
「ハイ、これあげる」
芹沢が渡してきた物は、白い色をした一枚のしおりだった。
090―×××……と書いてある。バニラの匂いが染み込んでいた。
「これ、私の携帯電話の番号。暇になったら、いつでも電話して。なんか、友達ができて嬉しい」
芹沢が玄関のドアを開けると、鈴が鳴った。
広い廊下が目の前に現れた。両端に埃がたまって白くなっている。
部屋の前をニつ三つと通過する芹沢の後ろをついていった。