「まあ、暇つぶしってとこかな。遊ぶための変装」
芹沢が舌を出してウィンクした。表情が生き生きしている。学校とは異なる雰囲気にドギマギした。
「そう……」
僕は顔が赤くなったのを気付かれないように下を向いて、呟いた。
「どうして学校行かないの?」
「なんとなく面倒で……芹沢さんは?」
「学校行っても退屈だから、今日は遊んじゃおうって決めたの。アンタ、今日は何するの?」
「……分からない」
僕はブランコを揺らした。金属が擦れて錆のニオイを感じとった。
「じゃあ、うちに遊びにきなよ。昼御飯御馳走してあげる」
芹沢が微笑んだ。同年齢の女子の笑い顔とは質が異なるように感じて、お腹の辺りがさわさわした。
「そんな……家の人に悪いよ」
言った後、小学生の癖にマセた断り方かもと思い気恥ずかしくなった。
「誰もいないよ」
「共働きなの?」
「ううん、お父さんは海外に出張中。お母さんはだいぶ前に死んじゃった」
あっけらかんとした表情をしていた。
「僕の家は父がいない。母は毎日仕事」
正直、芹沢が片親と分かって親近感が湧いた。家の事情をすんなりと口から出すことができた。