ケーキかな? オモチャかな? 僕はワクワクしながら箱を開けた。

「ワッ!」

僕は後ろにのけぞり、箱を落としてしまった。
床の上で、フタが開いた白箱からバネが飛び出していた。先端にピエロのような顔が付いていた。長いバネの首をしたピエロは舌を出して笑いながら、左に揺れて床で跳ね返り、右に揺れて床で跳ね返りを繰り返していた。
僕が「どこで買ったの」と聞くと、父が「自分で作ったんだ」と笑いながら答えた。
高学年になってから分かったことだがピエロの顔は、木を人の顔形に彫刻刀で掘って、絵具で色を着けた後ニスを塗って完成したものだった。オモチャ屋で市販されていてもおかしくないほど器用にできていた。

自分が目立つことを恐れずに前に進み、ひょうきんで器用な面もあった父――どうしていきなりいなくなってしまったんだろう。

父はいつも金色の腕時計をしていた。よく、時計をしている右手で煙草を持って吸っていた。だから、煙草の煙が時計に付着していた。
時計の金属に煙草が混じった臭いは、ちょっと嫌だった。それを臭う度に、幼少期に興味本位でボタン電池を口に含んだ味を思い出していた。