玄関の端にコンビニのナイロン袋があった。
中を覗くと、弁当箱が三つ重なっていた。全て空で、一番上の日付は昨日(6月15日)だった。
袋の中に、短く折られた割箸が何本もあった。
箸が袋を突き破らないようにしたのだろうか?
そうだとしても、ここまで短くしなくてもいいのにと思うほど、細切れされている。

玄関の外に、嗅覚の意識を集中させながら廊下を引き返した。男の臭いを察知したらただちに逃げなければならない。
畳部屋に戻ると、押入れが目についた。近づいて、黄ばんだ襖を開けた。木と黴の微風が鼻に当たった。
押入れの中は真ん中に木のしきりがあって二段に分かれていた。上の段に服があった。ジャンパー、トレーナー、ジーパン、Tシャツ、パンツ、靴下等が折り畳んである。
下の段に布団があった。しゃがんで下の段を見渡した。