僕は必死に玄関の方へ歩いた。
前に立ちはだかる芹沢にぶつかってはね返り、壁にぶつかった。

「大丈夫?」

女の声を無視して靴の踵をつぶして履いた。
体をくねらせて、障害物となっていた男と玄関の隙間から外へ出た。

「ど~こ~行~く~の~?」

辛うじて僕の耳がとらえた声は歪んでいて、悪魔が不適な笑みを浮かべながら囁いているように聞こえた。

玄関の男は、昨日公園に居た殺人犯だった。