嗅坊
嗅覚が異常に優れている少年が事件に巻き込まれ……
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「よくがんばったなー、前より上がってるじゃないか」
父がスーツを着たまま、小学5年生3学期の成績表を見て微笑んだ。
でも、僕は素直に喜べなかった。父にいつもと違う臭いがしたからだ。
普段、会社から帰宅した父は煙草のニオイしかしない。スーツにこびりついた、舐めると苦いんだろうなと感じさせるニオイだ。でも今日は他の臭いが混じっている。
それは、父がスーツを脱いでネクタイを外した時、より強烈に鼻にきた。衣服ではなく、父の体にまとわりついているようだ。花のような甘い香りだけど、どこか違和感があって父じゃない別の人がいるみたいだった。
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